西尾の街中を歩いていると、ふと気になる名前の店がある。「天野ゲーム博物館」と掲げられたこの店には、1980年代～のレトロゲームが100台以上も並ぶ。オーナーの天野さんは84歳にしてベッカムヘアー、今も現役だ。天野さんの下には全国各地から壊れたり、使われなくなったレトロゲーム達が担ぎ込まれる。部品の生産が終わってしまった筐体の修理ができることはもちろん、日本でもトップクラスの数のレトロゲームが設置されていることから、マニアックなファンの来店も多い。復活したゲーム機がもう一度日の目を浴びることができるのだ。元はスポーツ用品店を営んでいた天野さんは、工学を専門で学んだわけではなく、「好き」が高じてここまで業界の信頼を集めているというのだから驚きだ。

さらに店の奥には会員限定のスペースがある。より希少なゲームが並ぶエリアだ。とても古い機体も多く、雑に扱うと壊れてしまう恐れがあるため、よりゲームに対する知識と愛を兼ね備えた人しか入れない。会員になるにはペーパーテストと実技テストという高いハードルがあるにもかかわらず、会員は全国からの愛好者で1万人にものぼる。いかに愛され、必要とされているかがわかる人数である。

「いろんな人がゲームをなくしたくない気持ちで古い機体を譲ってくれたり、お店に遊びに来てくれたりします。ゲームファンの助け合いでここまでやってくることができました」と天野さん。

1コインで何時間も遊べる、一人で来ても同じ趣味を持つ仲間と集まれる店として今後も休まず営業を続けていく意思を語ってくれた。