「お客さんが喜んでくれるからね。100歳まで続けないかんね。」そう話すのは盛華堂を70年以上一人で切り盛りしてきた牧敏子さん。94歳の今でも現役でお店を続けている。
注文が入ってから焼き、毎日注ぎ足しで煮詰めているタレを付けて、熱々出来立てを出すのがずっと変わらない敏子おばあちゃんのこだわりだ。

その日の気温や湿度、上米粉の状態を見極めて粉と水の配分、蒸し時間、丁寧に手作業で力づよい練り、成型には今では殆ど見ることのない専用の木型で棒状にした生地を一気に丸める。木型を上下にすり合わせて動かす一瞬で団子の形になる作業はいつまでも見ていられるほど気持ちがいい。

焼きたてをいただいくと「もちもち」とした団子にちょうどいい甘すぎないタレが良く絡み普段食べているみたらし団子とは一段上の美味しさを感じた。ただ、普段の団子と違って、「まん丸より少し平たいんですね」と聞いてみると「冷めても「もちもち」で美味しく食べてもらうために生地が柔らかいからね」と教えてくださった。形からも団子づくりに一切妥協しない、そのこだわりの一部を垣間見たきがした。

そんなこだわりのお団子がＳＮＳで話題となり県外からお団子を求めてくるお客さんも多いという。取材をさせていただいた日は午後2時には完売で、買いにきた地元のお客さんは「子供が保育園で食べてて好きだから、買いに来たよおばあちゃん。また買いにくるね。」と。地元の保育園にもおやつとして提供しているようで、小さいころからおばあちゃんのみたらし団子のファンになっている人が多そうだ。

94歳になっても変わらずお店に立ち続ける敏子おばあちゃん。たくさんのひとから変わらず愛されつづけている味がそこにある。出来立てはもちろん、家にお土産として持ち帰り、冷めてからの味もぜひ味わってほしい。