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小学校で鋳造体験授業!300年受け継がれる伝統「西尾の鋳物」とは

2024.02.09

〇平坂小学校で出張鋳造授業を開催

1月22日、23日、平坂小学校5年生を対象に、西尾市鋳物工業協同組合(以下、「鋳物組合」)と、株式会社イナテックが運営する鋳造体験工房ritakobo(以下、「ritakobo」)による出張鋳造授業が開催されました。

当日は、社会科の授業「日本の工業」の一環として、平坂地区に多くの工場がある「西尾の鋳物」のお話と、鋳造体験を実施。

鋳物組合オリジナルキャラクター「イモじい」と「イモノフ」を登場人物にした鋳物についての説明では、鋳物の歴史や身近にある鋳物を紹介。

小さなものしか作れないと思っていた児童は、「大仏やポストも作れるなんてすごい!」と驚いた様子をしていました。

平坂地区では300年前から鋳物作りが行われ、現在まで受け継がれており、鋳物の事業所の数も日本一です。
「抹茶やウナギ以外にも、鋳物があることが知れて良かった」
「もっと鋳物のことについて知りたい」
と、自分の住む町について、新たな一面を知ることができました。

〇鋳物のキーホルダー作りを体験

鋳造体験では、4つの手順でアルファベットのキーホルダーを作りました。

アルファベットキーホルダーの作り方
1.木枠の中に作りたいアルファベット型を置き、型の上から砂を固く詰める
2.木枠を裏返し、砂がくずれないようにアルファベット型を外す(※講師やスタッフが対応)
3.溶けた金属(今回は錫)を一気に流し込む
4.金属が固まったら砂から取り出し、型からはみ出している出っ張りやギザギザをやすりで削り、完成

体験をした児童からは、「砂を使うことがこの授業で一番びっくりした」という声が。
最初から作られた型に金属を入れると思っていたそうです。
砂型を作るには、数回に分けて木枠に砂を入れ、型を外しても崩れないように固く敷き詰めなけらばならないため、子どもたちの表情は真剣そのものです。

 

砂から型を抜く作業は技術が必要なため、子どもたちが見守る中、鋳物組合や講師の方が1つ1つ砂の中から型を取り出しました。
1つ型を外すごとに子どもたちの歓声が沸き上がります。

溶けた錫を型に流し込む作業は、講師の方と子どもたちが一緒に実施しました。

ゆっくり流し込むと、型の端まで錫が行き渡る前に冷えて固まってしまうため、型からあふれるのを承知で思い切って一気に流し込みます。

「型に入れるときにブワーって広がって楽しかった!」
「溶けた金属は少し怖かったけど、お兄さんたちがていねいに教えてくれたからとても楽しかった」
「金属を流したりなかなかできない事ができて良かった」
「思ったよりも早く固まって、びっくりした!」

流し込む作業は一瞬ですが、子どもたちにとってはとても印象に残る体験だったようです。

固まったキーホルダーを型から取り出し、最後は仕上げです。
型から取り出したばかりのものは、型からはみ出した出っ張りやギザギザした部分があるため、やすりで削り、きれいな形に整えます。

「自分のキーホルダーはRだから、カーブのところが削るのが難しかった」
「鋳物の先生が、机に置いて、のこぎりみたいにやすりを引くとやりやすいと教えてくれた」
「金属を削ってつるつるにするのが楽しかった」

ほとんどの子どもたちが、今回初めて鋳造体験ややすりがけを経験しましたが、
楽しんで鋳物のキーホルダーを作ることができました。

〇授業を通して本物の技術に触れる

今回の出張鋳造授業は、学校からの発案で実現したと聞き、校長先生へお話を伺いました。

「平坂小の校区には昔から多くの鋳物の工場があります。
平坂小には以前も赴任していたことがあり、当時は学校の近くにも工場が建っていたため、
児童たちが工場見学をし、実際に働く方のお話を子どもたちが直接聞くことができていました。」

 

平坂小学校の校歌には、鋳物工場の炉からでる火の粉の様子を歌った詞が書かれていたり、校庭には鋳物でできたかえるも置かれているなど、鋳物とゆかりの深い学校ですが、そのことを知らない児童も多い。

 

「今回、本物に近いやり方で鋳造体験をさせていただけたことで、子どもたちの感動もとても大きかったのではないかと思います。
今年だけの活動ではなく、工場見学と鋳造体験を組み合わせたり、今後も続けていけるような取り組みにしていきたいと思っています」

〇地場産業を守る未来の主役は子どもたち

鋳物組合では、西尾の鋳物を残すため、青年部を中心に啓発活動を行っています。
これまでもritakoboと青年部でイベントへ出店をするなど周知活動を行っていましたが、小学校を対象とした活動は、今回が初めての取り組みでした。

ritakoboとして1,000人以上に鋳造体験を提供してきた加藤さんと堀井さん。

 

「今回参加してくれた児童さんの中には、以前私たちのイベントに参加したことのある子もいましたが、授業が始まる前は、鋳物や金属についてよく知らない子も多かったと思います。
でも、組合の方のお話や鋳造体験を通して、「西尾の鋳物」の歴史はもちろん、今回使った錫のように、子どもの手で曲げられるほど柔らかい金属があることや、古いものを再利用して新しいものに作り変えることができることなど、鋳物にまつわる奥深い部分まで伝えられたのは、学校という教育の場でこのような活動を実現できたからだと感じます。
今後も活動を続け、子どもたちに鋳物の魅力を伝えていきたいと思います」

授業にも参加された鋳物組合の鈴木理事長にもお話を伺いました。

 

「2日間参加しましたが、どの児童さんもとても楽しんでくれていたように感じます。
組合としても大変意義のある活動だと感じているので、他の学校からも要望をいただけるなら、喜んで出張鋳造授業をさせてもらうつもりです。
今回は体験だけでしたが、ぜひ工場見学もしてほしいですね。
最近の工場はとても環境が良くなっているので、作業風景だけではなく、工場自体もぜひ見てほしい。
地場産業である鋳物を学習の中に取り入れていただき、学校の伝統の1つとして、引き継いでもらえると良いですね。」

今後もさらに進化しながら、子どもたちに鋳物について知ってもらう活動を継続していきたいと、力強い思いを話してくださいました。

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