コロナ禍でも奮闘する、西尾の事業者の今を伝える継続のチカラ。
今回は西尾市が誇る製造業ならではの高い技術を活かした新たなプロダクトを生み出し、クラウドファンディングに挑戦する株式会社セイワの代表取締役社長 加藤正和さんにお話をお伺いしました。

2020年春。新型コロナウイルスの影響により、西尾市の製造業も仕事の受注数が減少し、大きなダメージを受けました。

部品加工企業として、1969年の創業以来、技術を磨き続け、お客様のあらゆるニーズにも対応できるよう、高品質な製品をつくり続けてきた株式会社セイワにも、先行きの見えない不安の波が押し寄せます。

経費を削減しながら、受注の回復まで体力を維持する。本来であれば、このような判断を下すことが合理的だと思われます。

しかし、これからの時代において、仕事の形、働き方、お客様のニーズに大きな変化が起こると感じた加藤さんは、もっとワクワクして、自分たちが楽しいと思える自由なモノづくりへの挑戦へと舵を切ります。

加藤さんには、2016年に2代目社長に就任した時に、5年以内に自社製品を作るという目標を掲げていました。
ただ内心では、自社製品を世に出すのは夢のまた夢だと考えていたそうです。

落ち込んでいても仕方がない。時間がある今こそ、長年の目標に向かってチャレンジする時だ。

そこで、2018 年に有志を集めて 発足したモノづくりプロジェクト セイワ魂 を本格始動させ、以前は時間が足りず、強く推し進める事の出来なかった、主体性のあるモノづくりに時間を注ぎはじめました。

しかし、それまで自社のオリジナル商品を作った経験のなかった加藤さんは、頭を抱えてしまいます。
商品のアイデア、ニーズ、デザインなど、0 ベースからのモノづくりは、困難を極めました。

一体どんなモノを作ればいいのか、どんな商品だったら世の中で受け入れられるのか。

メンバーと打ち合わせを繰り返す中で、新聞やネットニュースでコロナ関連グッズを制作しているメーカーが増えたことに着目し、 時代に沿ったアイデアグッズの制作を試みます。

そこで最初に生まれた製品が “リスプン” です。手のひらからの接触感染を防ぎ、不特定多数の人が触るドアノブを手首を使って開けることが出来ます。

3D プリンターで試作、アルミを削る技術を活かして自社製造までこぎつけるも、そこからのプロモーション、マーケティングなど、様々な課題が浮き彫りとなりました。自社製品の販売の難しさを痛感する中、クラウドファンディングに挑戦するも、結果は振るわず、商品化には至りませんでした。

この悔しい経験が、加藤さんのやる気に火をつけます。

その時、一通のメールが加藤さんの元に届きます。㈱ AMN が主催する愛知県を中心としたモノづくり企業と、その企業の技術に惹かれ想いに共感したデザイナーを繋ぐプロジェクト企画の参加募集案内でした。

普段ならスルーするような内容でしたが、次にステップアップするチャンスだと直感で感じたことから、参加することを決意。

そこで出会った東京のデザイナーチームAATISMO と共に、切削加工の技術を活かした新たなプロダクトの開発に乗り出しました。

諦めるのではなく、どんな時も前を向き挑戦し続けるセイワ魂に、デザイナーの力が加わり、アルミ製の茶器や花瓶など、今までにはないユニークな発想が次々と生まれました。

金属を削るという当社の技術を活かし、新たな価値を創造し、現状のままを続けるだけでなく、新たなる目標を定め歩を進める。

これは西尾市の製造業にとって、未来を担う大きな鍵となります。

その中で、第１段として誕生したのが、金属の塊から削り出された、石器のような開梱ナイフ「OOPARTS-001」。

自宅で荷物を受け取る体験を「心踊る体験」に変えてくれるアート作品のような開梱ナイフです。

アルミの持つ美しさを表現するため、塊から総切削した「OOPARTS-001」は、金属の持つ重厚感と輝きを楽しむことができる、高級感のある仕上がり。

玄関先に飾るオブジェとしてお楽しみいただけるため、新居や結婚の祝い品としても最適です。

この波のような文様は、握った時には指が掛かって滑り止めの役割もし、金属の塊とは思えないほど手触りがよく、手に馴染むものとなっています。

モチーフとなった打製石器は石を叩き割ることによって全体が形作られていますが、「OOPARTS-001」は、その素材を石からアルミへ、製法を打製から切削加工へといったように「古代の石器」を「現代的な素材と技術」によってアップデートした製品。

アート作品として美しく削るために、削る刃物の向きや角度を調整し、何度も試行錯誤を繰り返し、 完成しました。

「OOPARTS-001」を初の自社商品として、多くの人たちに知ってもらうために、1 月 30 日よりクラウドファンディングにて先行発売を開始します。

今後も西尾の製造業の未来に貢献できるよう、さらなる商品開発にも力を注いでいく予定です。

今の時代にとって必要とされるカタチ。その答えはまだ誰にもわかっていません。

大きな変化の時代の中、私たちは生きています。

ピンチはチャンス。止まるのではなく続けることで、新たなる可能性を導きだすことができるはずです。

新たな一歩を踏み出し、コロナ禍においても勇気を持って挑戦を続ける株式会社セイワ。 この活動が、これからどんな進化を続けていくのか。今からとても楽しみです。

ご興味を持っていただけた方からの応援、ご支援お待ちしております。

クラウドファンディング特設ページはこちら→https://www.makuake.com/project/seiwa_knife/